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心理療法システム編
第8巻 家族システムの観点からの個人相談
Individual Therapy from Family Systems Perspective
フローレンス・カズロー博士
Florence W. Kaslow, PhD

監修:S・マーフィ重松(東京大学助教授) 監修・翻訳:岩壁 茂(お茶の水女子大学助教授)
■VHS ■日本語字幕スーパー ■収録時間:58分 ■解説書付

■商品コード:VA-2008 ■¥48,600(税込)
個人療法と家族療法はそれぞれ異なる利点をもつ。クライエントの内的体験を探索し、理解を深める作業は、クライエントが自分自身に集中できる個人療法において最も効果的になされるだろう。一方、クライエントの家族、職場などで現在起こりつつある対人関係の問題を扱う場合、また、心的水準での変容を維持し、それをより深く固定するためには、その個人の生きる対人関係のシステムの水準での変容が有効である。これは、クライエントの家族や仕事の同僚、上司に来談してもらい、直にクライエントの対人システムを観察し、操作する家族療法の形態がより効果的であろう。カズロー博士の介入法は、個人療法と家族療法という異なる形態の心理療法を統合し、この二つの作業を包括的に行う点において極めて斬新なアプローチである。

フローレンス・カズロー博士
(デューク大学医学校副教授)
フローレンス・カズロー博士について

フローレンス・カズロー博士は、教師、スーパーヴァイザー、コンサルタント、セラピスト、ワークショップ指導者として国際的に著名である。博士は、ブリン・マウワー大学より博士号を取得し、現在、セラピスト、調停員、家族事業コンサルタントとしてフロリダ州、ウェストパームビーチで個人開業を営んでいる。フロリダカップル・家族研究所の所長、デューク大学医学部精神医学科準教授、フロリダ工科大学客員教授を兼任し、さらに、アメリカ家族療法誌(American Journal of Family Therapy)の「家族療法実践における家族法の問題」に関する編集委員を務め、これまでに15冊の編著作に加え、数多くの編書に執筆をしている。また、120以上の論文が専門誌に掲載されている。

カズロー博士は、アメリカ専門心理学委員会(ABPP : American Board of Professional Psychology)より臨床心理学、家族心理学、法廷心理学の認定資格を受け、アメリカ性科学委員会(American Board of Sexology)より性科学の認定学位をもち、アメリカ心理学会の数多くの部会と、アメリカ夫婦・家族療法協会(AAMFT : American Association of Marital and Family Therapy)の評議員を務める。博士は彼女の専門分野において卓越した貢献を讃える数多くの賞を受賞しており、1994年には、アメリカ専門心理学委員会より専門職への優れた貢献に対する表彰(Award for Distinguished Service to the Profession)を受けた。



家族システムの観点からの個人相談の概要

家族システムの観点は、私が患者の態度や行動を査定・分析する基盤であり、介入法を選択する際の枠組みとなっている。この理論的枠組みの中心に位置するのは以下の考え方である:「一つのシステムに属す個人はそのシステムに属す全ての成員に影響し、影響される。システムの成員の一人が苦痛を感じている場合、全ての成員がその苦痛の振動を感じる。一人の成員が大きな決断をする場合、その他の成員は皆その影響を受けるため、問題解決や意思決定の過程において全ての成員を参加させることが重要である。」よって、一人一人の成員が他の成員と共有する現実をどのように構築するか、また、一人一人が自分の視点から語る機会を与えられることが大切である。そうすることによってそれぞれが、どの糸をほぐしたら良いか、どの糸を絡めたら良いかというように、人生の歴史の中に次の章をどのように編み込みたいのか考えることができる。

家族システムの枠組みから、一人の個人に対してコンサルテーションを行うとき、私は統合アプローチ(私は「弁証法的」モデルと名付けた)を採用する。それは、精神力動療法、対人関係/文脈重視アプローチ、ボーエン(Bowen)の理論、構造的家族療法、システム療法、戦略的アプローチ、問題解決アプローチ、認知行動療法、社会構成アプローチなどの解釈や介入を取り込んだものである。このような統合は、心的ストレスと対人ストレス、個人の心的葛藤と対人葛藤、自分を患者と見なす個人(self-identified patient)と周囲の重要な人間のあいだの葛藤の両方に焦点を当てる。本テープで扱った事例では、心理的問題が家族経営の事業の文脈において展開されているために、この事業というマクロシステムの中に表れた圧力が存在している。よってこの圧力を心的に内在化された力動的問題として、そして外部にある環境的因子として対処することが望まれる。したがって、心理療法とコンサルテーションの過程において必要であれば、一つの水準からもう一つの水準へ移行する。



クライエントの素性

■アラン
■年齢:54歳
■性別:男性
■人種:白人
■婚姻関係:ジョイスと結婚して34年
■職業:従業員30人をかかえる会計事務所の代表取締役、事務所は15年前(患者が39歳の時に創設)
■教育歴:経済学修士、認定会計士
■両親:両親ともに健在;父(82歳)、母(78歳)
■兄弟姉妹:弟(50歳)、妹(48歳)ともに健在
■子供:ジュリー(28歳)、ジョン(20歳)



関連する出来事

アランは「ストレス性の頭痛」の症状で内科医を訪れたあと、カズロー博士に予約をとった。

6週間前、彼は検査のため内科医を訪れた。この頃彼には、彼が「すっかり参ってしまうほどのストレス性の頭痛」と呼ぶ症状があり、めまい、視覚障害の他、顔色も青白かった。内科医は彼を「ストレスと緊張の歩く時限爆弾」と称し、生活習慣や労働状況を変える必要があると告げた。そして身体で悪いところはなかったが、運動し、心理士とストレスについて話し合うようにと彼に薦め、カズロー博士を推薦した。

アランは誰かに話したほうがいいだろうと同意した。彼は仕事でも家庭でもかなりのストレスを感じており、しばしば爆発するのではないかと思うことがあった。実際に、仕事場で娘のジュリー(彼女は4年前にハーバード大学でMBAを取得後、家族経営の会計事務所で働きはじめた)に「剣幕」を落とすことがあった。

仕事場でのストレスはいつも多かったが、2ヶ月ほど前、彼は大切な顧客の前で「切れて」しまい、娘に雷を落とした。彼の事務所は不動産への投資を拡大するかどうか検討中であり、所有不動産からの収入は、大した額ではないが、安定していた。

ジュリーは数ヶ月前にアランの会社の副社長に昇進した。「ゼロから」学び、先輩と後輩と一緒になって仕事をするうちに仕事の「こつ」を覚えはじめた。

この昇進のあと、ジュリーは不動産保有の幅を広げたいと考えるようになった。彼女は「これから注目される」新たな地域に商業用の建物を購入し、住居スペース、商業用スペース、ギャラリー、小売店などが入れるように内装工事を行う提案をまとめ、彼女はこれを社長(父親)と重役陣に発表した。不動産ブローカーのフィアンセ、クリスもその発表に同席した。

娘の発表の途中でアランは頭が割れるように痛くなり、重役に解散するように求めた。そして娘と二人きりになったあと、ものすごい勢いで怒鳴りはじめた。「こんな契約は見かけだけだ!どこから資金が入ってくるって言うんだ!リスクが大きすぎる。そんな建物を作ることにしたって、その地域ついても何も知らないだろ。何一つ分かってないだろ!お前とクリスがこの事務所を乗っ取ろうとするにはまだ早すぎるぞ!」アランによると、このあとも怒鳴り散らしたために従業員が気を使ってドアを閉めて、重役室の前の廊下に近寄らなかったそうだ。落ち着きを取り戻したあと、彼は「恥ずかしく、気持ちが高鳴り、恐いような気」がして「自制心が効かなくなったのか」と思った。

アランは、他に2度ストレスが身体の痛みとして表れたことがあると思い出した。

6ヶ月前、ジュリーの婚約パーティーの次の日、彼は「吐き気を起こすほどの頭痛」を感じた。ジュリーは「とても魅力的で、頭の切れる、有望な不動産ブローカー」と結婚した。皆が二人はお似合いのカップルだと思ったし、アランもクリスが多くの点で自分の娘に合っていると認めざるを得なかった。しかし、彼はクリスが家族経営事業に対して「過度に」興味をもっていることが気掛かりだった。クリスは事務所が保有する全ての不動産、その他の資産や投資額などを知りたがっていたのだ。そこでアランはクリスが家族事業に入り込まないように婚前財産契約を結んだほうがいいだろうと考えた。

このような心配を婚約パーティーの前にジュリーと妻に直接話したところ、二人は「激怒」した。ジュリーは傷付いたようで、「他の会社で仕事をみつける」とほのめかし、アランは「自分の娘に会社を任せる」のは誤りではないかと思った。二人はその後数週間口をきかなかった。この言い合いのあいだ、彼はひどく動揺し、目がくらむほどの頭痛を感じた。

また15年前、アランは自分の会社をはじめるために、海外にも支店をもつ会計事務所の支店長としての給料の高い地位を後にしたが、当時彼は経済的な面でもプライベートな面でもかなりのストレスを感じていた。ジュリーは、学費のかかる私立の学校に通い、妻は、キャリアウーマンとしての一歩を踏み出したところだった。そのような中、もっと確実な仕事にとどまるべきであったか悩むことがしばしばあった。

アランは、そのころ約1年に渡り、睡眠が乱れ、お腹の調子が悪いのが常であった。医者は安定剤を処方したが、それでも彼は不確実な状況と変化に動揺するばかりだった。



これまでの面接の経緯

第1回面接


初回面接で、アランは自分の言い分を話した。何がどう起こったのか、何が問題か、セラピーの目標などについて自分の意見を述べた。彼はセラピーの第一目標がストレスを下げることであると決めた。

アランとカズロー博士は彼がこれまでに試みてうまくいかなかったストレス対策を探索した。

博士は「症状のもち手(Symptom Bearer)という概念を紹介し、システムに属する他の成員もいくらかアランの苦痛を共有していながらも、彼が「病気」であるか苦しんでいる人間として周囲の人から思われていることを説明した。

さらに、彼に家族システム療法の説明をした。このアプローチでは、自己(個人)、システム(家族)、そして社会(彼の場合、仕事や事業として表れる)について考慮し、彼の問題を個人、家族、事業という3つの基盤から探索していくと説明し、そして治療はこの3つの水準で平行して進むと付け加えた。



第2回面接

アランは不安度が高かった時期を挙げ、その時に何をしていたか説明した。

博士は、運動のプログラム、休暇の計画、投薬など、ストレスを軽減する方法を紹介しはじめた。二人はアランの問題に見えるテーマを同定しはじめた。


喪失と悲哀の問題
−安定した会社の安定した仕事の喪失
−結婚によって娘を失うこと?
−若さの喪失(と死に関する問題)
−結婚から愛、またはロマンスがなくなったこと?

そして、仕事場での介入、家族の成員に参加してもらった上での介入などについて話し合った。
−アランの妻と面接する
−娘と未来の義理の息子と面接する
−アランと娘と面接する
−会社の重役と面接する
これら全ての面接にアランが同席する



第3回面接

ビデオに収録


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